2020年公開映画

映画「えんとつ町のプペル」感想

こんにちは、おにぎりパンです。

本日は、キングコング西野さんが書いた絵本で話題になった「えんとつ町のプペル」の劇場版を見てきたので、その感想を書いていこうと思います。

「えんとつ町のプペル」メインビジュアル(C)西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会

 

本記事では映画「えんとつ町のプペル」についての感想を書き連ねていきます。

大きなネタバレは書きませんが、一応ネタバレを書く際は白文字で見えないようにしとくので、ネタバレ部分を読みたい人は記事の該当部分をドラッグしてください。

映画「えんとつ町のプペル」のあらすじ

 

あらすじ

煙突だらけの「えんとつ町」。そこかしこから煙が上がるその町は黒い煙に覆われ、住人たちは青い空や星が輝く夜空を知らずに生活していた。ハロウィンの夜、この町に生きる親を亡くした少年ルビッチの前にゴミ人間プペルが現れる。ルビッチとプペルの不思議な物語が今ここに始まる。

 

 

2016年にお笑い芸人であるキングコング西野さんが書いた絵本として話題になり、大ヒットした絵本の映画化ですね。実は「えんとつ町のプペル」の絵本は西野さん本人の意思によりすべて無料で公開されているので、映画を見る前でも見た後でも一度目を通して映画と比較してみるといいと思います。私は映画を見た後に、絵本のほうが気になって読ませていただきました。(絵本「えんとつ町のプペル」はこちらからどうぞ。

 

映画「えんとつ町のプペル」の感想

良くも悪くも絵本の話

本映画を見る前に知っておいた方がいいなと思ったこととして、この話はあくまでも絵本の話であるということです。正直かなりツッコミどころが多いですが、「まぁ絵本だし」「子供向けだし」ということで納得するのが一番いいのではないかと思います。

具体的なツッコミどころとしてはやはり、えんとつ町を支配する立場にある異端審問官周りの設定のお粗末さが目に付きやすいと思います。ゴミ人間プペルは化物として町で迫害を受け、イレギュラーを裁く立場にある異端審問官たちに追われることになります。しかし、この異端審問官たちが傍目から見ていてあまりに無能に見えるし、町全体にゴミ人間プペルの手配をしているにもかかわらず、誰も異端審問官たちに協力しようという素振りすら見せない。周りは皆口を揃えて「異端審問官には気をつけろよ」。プペルを庇う立場にあるルビッチに対して、そいつといるのは危険だという割に、自分たちも積極的にプペルを突き出すような動きを見せないのは本当に不自然でした。庇うことが罪なら、見て見ぬふりしたお前たちも罪に問われる可能性は十分にあるんだぞ。と心の底から思った次第です。

他にも、散々異端審問官に気をつけろと言われ、人目につかない仕事場まで用意してもらったにもかかわらず、普通に外出して町の人たちに目撃されてるのはどうなの?というのは感じました。プペルが黙って外出していた理由については、まぁいいでしょう。しかし、ルビッチが積極的にプペルを連れ出すシーンも多く見受けられ、「こいつら追われている自覚あるのかよ」とすこぶる感じました。

いずれにしても、この話はあくまで絵本の話であり、子供向け映画という括りとしてみれば、まぁ許容範囲内なのかな?という感じですね。

西野亮廣自身の経験談

本作は西野さん自身がおっしゃっているように、夢を語る者、挑戦する者を指さして笑う現代社会を風刺した作品となっており、煙に包まれたえんとつ町は今の日本を表しており、ホシを夢見る少年ルビッチは夢を忘れず、挑戦を続ける西野さん自身であり、(あえて言葉を選ばずに書くと)西野さんのコミュニティで西野さんを応援したり、西野さんに憧れたりしている、所謂、西野信者になるわけです。そうです、つまりは、この物語は西野さん自身の経験そのものがベースであり、どのような動機であれ、周りと違うことに挑戦している人たちなら一度は経験したことのある感情がベースになっています。

別にそこを押さえておかなくとも本映画のメッセージは非常にわかりやすく、強烈なのでそんなに重要なポイントではないのかもしれませんが、西野さん自身の人となりや今まで挑戦してきた多くのことをある程度知っておいて本作を見ると、実に西野さんらしい作品だなという感想を持つことになると思います。

映像美が素晴らしい

本作を見た人が口を揃えて言うのが映像美です。かくいう私も本作一番の魅力は映像美であり、非常に芸術性の高い作品になっていると感じました。えんとつ町のモチーフが何かは存じ上げませんが、私が感じたこととしては、色合いは「千と千尋の神隠し」で、ビジュアルは「九龍城塞」、そこにスチームパンク要素を付け加えたような印象を持ちました。

また、終盤雲の中に入るシーンがありますが、その雲の中の世界は実に絵本的で人の住むえんとつ町とは違う、人のいない世界であり、おどろおどろしくも美しい空間表現には息をのみました。

絵本との違い

本作は原作が絵本であり、そのままのボリュームではとてもではないですが、映画として尺が持ちません(絵本「えんとつ町のプペル」はこちらからどうぞ。)。そのため、いろんな要素がつぎ足されており、その要素が本当にいい働きをしている場面もあれば、なんかズレててイマイチなものも多くありました。ここではその辺について書いていきたいです。ネタバレ要素も多数含まれるので、全部白文字で書かせてもらうので、読みたい方はドラッグして読んでください。

 

ネタバレ注意(読みたい方はドラッグしてね)

まず初めに、最初に落ちてくるプペルの心臓ですが、絵本では配達屋さんが心臓を運んでいて、それを落としてしまうというシーンから始まりますが、映画ではいきなり心臓(心臓というよりクリスタルみたいなもの)が落ちてきます。この辺の設定の深堀はもう少しできたのではないかと思います。

次に、町のハロウィンの映像化ですが、いきなりミュージカルが始まります。この冒頭ミュージカルは個人的には2016年にオスカーにもノミネートされた「ラ・ラ・ランド」の冒頭であったり、2019年に公開された「キャッツ」なんかを思い出しましたが、正直あのような唐突に歌って踊る演出というのはミュージカル映画だから許されている部分が大きいと思っているので、本作でいきなりそれをやられると、ちょっとついていけなかったです。

そのあと、異端審問官という設定が出てきますが、あの得体のしれない不気味さは見事なデザインと演出だと思いました。しかし、その一方で初めからプペルを庇う女性が出てきたりと「なんかこいつら信頼されてないな~。嫌われてんのかな?」みたいな感想を持ちました。それならそれでいいのですが、そうなのだとしたら、もっと異端審問官や町を統べる立場の人への民衆の不満みたいなものをもっと描いてくれた方が、納得がいきました。町の人は異端審問官を恐れているような表現がいくつもある割には、異端審問官に協力的な人たちが皆無だったのは本当に見ていて気になって仕方がない部分でした。

異端審問官から逃れたプペルですが、ゴミ収集車に入ってしまい、ゴミ処理場へと行くことになります。このシーンは世界観の深堀として非常によくできたシーンであると思いました。身動きの取れないプペルを助けるために複雑なえんとつ町を走り回るルビッチのシーンも合わせて非常にいいシーンだったと思います。

しかし、ゴミ処理場脱出のシーンでは、唐突に「ルパン三世」のような数々の危機を間一髪で回避するアクションシーンとその後の、「インディ・ジョーンズ」や「天空の城ラピュタ」、はたまたフジテレビ系列のクイズバラエティ番組を彷彿とさせるトロッコアクションシーンがあるのですが、これらのシーンは完成度が高いわりに、世界観とミスマッチを起こしいるように感じました。というか、監督もしくは西野さんがやりたかっただけのシーンなのでは?と感じました。個人的な意見を述べさせてもらうと、安易なアクションを描くよりも、もっと世界観の掘り下げをしたほうがより「えんとつ町のプペル」という作品の魅力を引き出せたのではないかと思いました。

他にも、父親の話や絵本ではただの乱暴者だったアントニオの掘り下げや同じくえんとつ掃除を生業とする職場の人間など多数のキャラクターを新たに出したり、新たな側面を描いたりされていました。この辺は非常に良かったと思います。特に、絵本ではルビッチの夢の原動力となった父親の掘り下げと、絵本ではただのジャイアンだったアントニオの新たな一面は非常に良かったです。個人的にはアントニオの在り方というのがかつての夢を、所詮夢であると切り捨ててしまった人であり、ルビッチもああなってしまったかもしれないという鏡の役割をしっかりと果たせていて、キャラクター的にもポジション的にも非常に美しくはまっていたと思いました。

また、えんとつ町がなぜ生まれたのかという過去回想でシルビオ・ゲゼルの「腐るお金」の話が出てきたことには驚くと同時に笑わせてもらいました。今まで、子供向けの絵本原作の映画を見ているつもりが、突然ガチ金融の話が始まったからです。私自身、この腐るお金の話はとても好きな話なので、「まさかここで出会うとは」という感想でした。自身で独自のコミュニティを築き、その中で一種の経済を回している西野さんらしい着想だなと思いましたが、子供にこの話は分かるのか?とも思いました。まぁ、わからなくてもいいんですけどね。

 

以上長々と書いてきましたが、映画のオリジナル要素として追加された部分はよいところもある一方で、個人的に気に入らないシーンもいくつかありました。

 

主役二人のキャストは素晴らしいの一言に尽きる

本作も基本、声優さんを起用せずに役者と西野さん周りの芸人さんが声を当てていたのですが、概ね良かったのではないかと思います。特にルビッチを演じた芦田愛菜さんとプペルを演じた窪田正孝さんの演技は素晴らしい限りでした。

 

まとめ

映画「えんとつ町のプペル」を観た感想を書いてきました。

本映画の良かった点・気になった点をまとめると以下のような感じです。

良かった点

映像は素晴らしいの一言に尽きる

主役を演じた芦田愛菜さん、窪田正孝さんの演技も素晴らしい

映画化に際しての世界観の掘り下げは全体的に良かった

気になった点

異端審問官を初めツッコミどころが多数ある部分が少なからずある

一種の見せ場シーンとして入れられたシーンだとは思うが、そのシーンが世界観とミスマッチしてしまっている感が否めない。正直監督か西野さんがやりたかっただけのシーンに思えてならない

 

個人的には前回書いた「ジョゼと虎と魚たち」のほうが好きですし、映画としての完成度も段違いに高いと思いますが、こちらも普通に良作だと思います。世間的にはこちらの方が話題になっているので、旬を逃さずぜひこの機会に劇場で見てみてください。

 

ABOUT ME
おにぎりパン
名前:おにぎりパン 年齢:アラサー 生息地:石川県産,広島在住 職業:大学院生 趣味:旅行,映画,ラジオ