こんにちは、おにぎりパンです。
金沢の雪がひどいです。金沢でこれなら、富山・福井はもっとひどいはずなので、おそらく北陸の物流が止まるだろうなと思っていたら、案の定止まりました。
そんな環境ですが、映画館に行って「おとなの事情 スマホをのぞいたら」を観てきました。本作は2016年にイタリアで公開された映画「おとなの事情」を日本でリメイクしたものになります。
ということで、本記事では映画「おとなの事情 スマホをのぞいたら」についての感想を書き連ねていきます。
大きなネタバレは書きませんが、一応ネタバレを書く際は白文字で見えないようにしとくので、ネタバレ部分を読みたい人は記事の該当部分をドラッグしてください。
~目次~
映画「おとなの事情 スマホをのぞいたら」のあらすじ
ある出来事をきっかけに結びつき、年に1度集まっている3組の夫婦と1人の独身男性。今年も楽しい時間を過ごすはずだったが、1人の参加者の発言をきっかけに、それぞれのスマホに届く全てのメールと電話を全員に公開するゲームをすることに。後ろめたいことは何もないと言いながらも、実は全員が絶対に知られたくない秘密を抱えており、自分のスマホが鳴らないことを祈っていた。スマホに着信があるたびにパーティは修羅場と化し、事態は予測不能な方向へと転がっていく。
世界18カ国でリメイクされたイタリアのコメディ映画「おとなの事情」の日本版。独身男性を東山紀之、50代のセレブ夫婦を鈴木保奈美&益岡徹、40代の倦怠期夫婦を常盤貴子&田口浩正、30代の新婚夫婦を木南晴夏&淵上泰史が演じる。「バースデイプレゼント」の光野道夫が監督を務め、「世界から猫が消えたなら」の岡田惠和が脚本を担当。
2016年にイタリアで公開され、イタリアのアカデミー賞に当たる「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞」で作品賞と脚本賞をダブル受賞した名作「おとなの事情」をリメイクした本作。私は元の映画を見ていないのですが、元の映画ではホームパーティで男女7人が集まるという簡単な設定だそうです。とはいえ、ホームパーティという文化がそんなに根付いていない日本では、とある事件に一緒に居合わせたメンバーという設定で、そのメンバーが毎年集まってパーティを開くというお話になっています。
映画「おとなの事情 スマホをのぞいたら」の感想
総評「素直に面白い作品!」
予告編でもわかるように、本作はわかりやすいコメディ映画なので、誰が見ても楽しめる作品だと思います。
映画のストーリーや展開も面白いのですが、基本的に構成や演出が非常に上手く、素直に感心してしまうところが多かったです。
一方で、「実際はそんなうまくいかんやろ」とツッコみたくなる場面もいくつかあり、気になる点もありましたが、コメディ映画にそういうツッコみは無粋というものかな?という気持ちもあるので、素直にコメディ映画として楽しむのがいいでしょう。
良かった点や気になった点は次項目以降で書いていきます。
着眼点が面白い!
現代において所有者のあらゆる個人情報を内包しているスマートフォンという装置を使って、当然誰にでもある(もちろん夫婦間であっても)秘密、そしてそれを疑う気持ちというものを上手くコメディに落とし込んだ名作だと思います。
このスマートフォンというものを晒すという着眼点が非常に面白いですよね。現代において、このスマホを見られるということに抵抗を覚えない人はいないと思います。それと夫婦の絆を天秤にかけさせるという話の持って行き方はどんどん逃げ場を塞がれていくような気持ちを見ている側も感じる本当に面白い発想だと思いました。
構成と演出がいい!!
本作を見て唸ったところは演出と構成の上手さです。
まず序盤の登場人物紹介が素晴らしいです。無駄なく非常にテンポよく進むのに、登場人物がどういうキャラクターなのかをすごくわかりやすく表現しているほか、各々が何かしら隠し事をしていることを明確に匂わせてくる。この冒頭シーンだけで、素直に感心してしまいました。
また、中盤に全員でスマートフォンに連絡がきた場合それを晒し合うという展開になるわけですが、登場人物が皆何かしらの隠し事をしているのが分かっているので、スマホの着信音がとんでもなく凶悪な舞台装置となるわけです。スマホの着信音一つで場が凍り付き、ピリピリとした緊張感をもたらす。この時の着信音が異様に大きな音で強調されており、見ている側もハラハラドキドキを感じること間違いなしです。
また、一晩のパーティという空間の時間経過をあらわす装置として、月と月食を使っているのも一捻りあって個人的にはGoodでした。月の話は若干のネタバレを含むので読みたい方は以下をドラッグしてください。
月を使った演出は時間経過を現すだけでなく、痴情の縺れや夫婦間での不満でギクシャクしてしまったこの7人の関係の時間変化も見事に表してくれています。作中でも、「月食の後はどうなるの?」という質問にたいし、「何事もなかったように満月に戻るんだ」と答えているように、スマホの晒し合いにより影を落とした7人の関係も最終的には元の満月に戻ったわけです。月という舞台装置に複数の意味を持たせて使っているこの演出は個人的にはかなり好きですね。
役者さんの演技について
役者さんの演技についてはたぶん賛否が分かれるところなのではないかと思っていますが、個人的には全体的にはよかったと思います。ただ、一部気になるところもあったのは否めないです。
まず、良かったところとしては、皆さん演技が上手なベテランを起用しているので、本当にいい演技が多いです。特に、中盤のスマホの着信音が場を支配する場面では見ている側も緊張してしまうほどにその場の緊張感が伝わってきました。
個人的に好きだったのは新婚夫婦のお嫁さん杏ちゃん小南晴夏さんは中盤、映画を見ている私たちの心の声を代弁してくれる貴重なツッコミ役として重要な役割を果たしていたと思います。
次に気になった点ですが、主役の東山紀之さんの演技が、下手ではないですが周囲のベテランたちと比較すると若干気になりました。特に気になった点はスマホを晒し合うゲームが始まってすぐに、とある電話が掛かってくるのですが、その電話について説明する際の演技が気になりました。正直、セリフ回しが若干説明的すぎる部分も気になりましたが、その辺は脚本の問題でしょう。とはいえ、このシーンは全体的に演技の嘘臭さが特に出ていたかなと思います。
また、中盤にとあるキャラクターがスマホを取り換えようと提案してくるのですが(予告編で出てるからネタバレじゃないよね!!)、交換後のやり取りがいくら何でも不自然すぎやしないか?とは思いました。流石に周りにバレるやろと。まぁ、コメディ映画なので、そこを指摘するのは流石に無粋かなという気持ちもありますが、私は空気を読まないのであえてここであげさせてもらいます。
扱っているテーマが現代的
スマホという現代の個人情報の塊を扱っている時点で現代的な映画なのは間違いないのですが、各々の隠し事も非常に現代的な色が強く、面白いなぁと思いました。
詳しく書くとモロにネタバレになってしまうので、詳細は以下に書いておくので読みたい方はドラッグして読んでください。
本作で扱っているテーマは、夫婦間の信頼関係なわけですが、各々が持っている悩みの種が男女関係という古典的なものだけでなく、LGBTや未成年の妊娠問題、夫婦間の性格の不一致など、非常に現代的な問題を盛り込んでおり、素直に感心してしまいました。
先ほどの項目でボロクソに言ってしまった東山さんですが、ホモセクシャルであることを隠し、スマホを交換した結果、友人がゲイであるという疑いをかけられてしまうわけです。その友人はゲイであることを妻からボロクソに貶されるわけですが、その言葉の刃は全て東山さん演じる三平に突き刺さるというシーンは見ているこっちも、「そこまで言わんでも・・・」と思わされました。あのシーンの東山さんの演技は素晴らしかったです。
あくまでもコメディ映画
非常にいい作品なのは間違いないですが、あくまでもコメディ映画でそこにリアリティを求めすぎてはいけないという点を注意したいです。
具体的な内容はネタバレになるので以下をドラッグして読んでください。
集まった7人の中で、W不倫の関係にまで発展してしまっている男女がいるのですが、リアルのパーティであんなことになったら、もっと壮絶な修羅場になること間違いなしです。それを互いの妻と旦那が許して?最後の仲良くパーティをする場面にいくわけですが、さすがにそうはいかんやろ!とツッコミを入れざるを得なかったです。いや、これコメディ映画だから!って言われてもそこはツッコませて!!空気読めなくても、無粋な人でもいいから、そこだけはツッコませて!!
まとめ
映画「おとなの事情 スマホをのぞいたら」を観た感想を書いてきました。
本映画の良かった点・気になった点をまとめると以下のような感じです。
現代的な着眼点の面白い映画
演出は終始冴えわたっていた
役者さんの演技もベテランぞろいで安定していた
演技が過剰でさすがに不自然すぎる場面も見受けられる
あくまでもコメディ映画なので、脚本に若干無理がある点がある
今年初のアニメ以外の映画でした。現代コメディとしてかなり完成度の高い作品だと思いますので、まだ見てないという方はぜひ劇場で観てみてほしいです。