2021年公開映画

映画「すばらしき世界」感想

こんにちは、おにぎりパンです。

最近あんまり見たい映画が無い。コロナ禍で洋画がことごとく延期されてるのが本当に辛いです。そんな中でも邦画はどんどん公開されていますので、最近は邦画率高めですね。

本日は「すばらしき世界」という映画を観てきました。

ということで本記事では映画「すばらしき世界」についての感想を書き連ねていきます。

大きなネタバレは書きませんが、一応ネタバレを書く際は白文字で見えないようにしとくので、ネタバレ部分を読みたい人は記事の該当部分をドラッグしてください。

映画「すばらしき世界」のあらすじ

 

あらすじ

殺人を犯し13年の刑期を終えた三上は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、身元引受人の弁護士・庄司らの助けを借りながら自立を目指していた。そんなある日、生き別れた母を探す三上に、若手テレビディレクターの津乃田とやり手のプロデューサーの吉澤が近づいてくる。彼らは、社会に適応しようとあがきながら、生き別れた母親を捜す三上の姿を感動ドキュメンタリーに仕立て上げようとしていたが……。

 

 

「すばらしき世界」映画ドットコム

 

少年の頃から少年院に入り、成人した後は13年間の刑務所生活を送った男が刑務所を出た後の生活を描いた作品です。これを主題にした作品ではありませんが、スティーブン・キング原作の「ショーシャンクの空に」の一幕でも、長年刑務所で暮らしていた男がいざ社会に放り出されると・・・。というシーンがあったのを思い出しました。

細かい感想は次項で書いていきます。

映画「すばらしき世界」の感想

結論から書きますと、良作です。邦画のこういったヒューマンドラマはやっぱりクオリティが高い。まだまだ捨てたもんじゃないですよ。

原作は「身分帳」という実在の人物をモデルにした小説になるのですが、その小説の発行が1990年であることを考えると、実際の小説の話は1980年代であることが推察されます。平成29年(2017年)を舞台に書き換えて制作されたのが本作となっています。1980年代を2017年に書き換えるということをやっているので、どこかで軋轢が出てきて、不自然な部分があるのかと言われれば、そんなことは全然なく、映画全体の流れに特に違和感は覚えませんでした。

特に1980年代と現代での大きな違いの一つとしてヤクザの在り方があると思います。本作では、現代社会においてヤクザ家業がいかに難しいかをちゃんと書いており、非常に好感が持てました。日本社会におけるヤクザの在り方の変化は今年(2021年)公開の「ヤクザと家族 The Family」で、ものすごい濃度で描かれているので、こちらの作品もぜひご覧ください。

以下本作の良かったところと気になったところを書いていきます。

現代社会の生きにくさが見事に描かれている

役所広司演じる三上は殺人の罪で13年刑務所に収監されていたわけですが、刑務所を出所した後の世間からの白い目が非常に良く描かれていると思います。

中には橋爪功演じる三上の身元引受人となってくれる弁護士先生など親身になってくれる人もいるのですが、市役所の職員や町のスーパーマーケットの店長など、前科者という事実だけを見て、三上本人を見ようとしない人間の描き方は非常に現代社会的であり、リアルだったと思います。

また、周囲に支えられながら三上は徐々に社会復帰をしていくわけですが、所謂「空気を読む」という現代人の持つ特性のどうしようもない気持ち悪さ本音を言うことのできない歪な世界を真っすぐすぎる三上という男の視点で我々に見せつけてくるどうしようもなく残酷な作品だと感じました(褒めてますよ)。

現代社会では誰しもが「我慢」を強要されているという現代社会の闇を見事に浮き彫りにした素晴らしい描写が本当に多かったです。

現代で前科者によくしてくれる人はどれだけいるのか?

現代社会の生きにくさを描いている一方で、三上に親身になってくれて支えてくれる人たちも多く描かれている本作ですが、正直作中ほど人の為に親身になってあげられる人間が現代ではどの程度いるのかは甚だ疑問です。

作中でも触れられているように、刑務を終えた者はその半数が社会に適合できずに再び犯罪を犯すそうです。そんな人たちを生み出さないために社会との繋がりを作ってあげるのは確かに大切ですが、現代の社会との繋がりはSNSが主流となっており、あそこまで対面で親身になってくれる人が居るのかは個人的には疑問でした。この舞台が1980年代ならまだ説得力はあったのかもしれませんが、2017年という舞台を考えるともう少し現代的な表現を模索する手段もあったのではないかと思います。

その一方で、一般人がヤンキーに絡まている場面をスルーするなど、臭い物に蓋をするではないですが、できるだけ関わらないことによる防衛策も描いており、そこは非常に現代的な表現をしていると思いました。

とは言え、彼を支えてくれる人たちによって三上は徐々に社会復帰をしていくわけですが、そういった三上自身に目を向けてくれる人たちに囲まれる世界は、本当に映画のタイトルの通り「すばらしき世界」なのだと思います。

三上正夫の魅力と役所広司の熱演

本作は常に三上正夫という元殺人犯の男を通して「行き辛くも、優しい」社会を描いていきますが、どこまでも真っすぐな三上という男は現代社会ではかみ合わない歯車でしかありませんが、ある意味少年漫画の熱血主人公のような魅力を持っています。その瞬間湯沸かし器のような性格故に殺人を犯してしまうわけですが、その大本には優しさがあり、人を救うために間違った方法を取ってしまうというどうしようもないキャラクターでありながら、どこか憎めない人物となっています。

また、この難しい役を演じきった役所広司さんは本当にすごい。正直、役所広司にしかこのキャラクターに説得力を吹き込むことはできなかったと思います。

まとめ

映画「すばらしき世界」を観た感想を書いてきました。

本映画の良かった点・気になった点をまとめると以下のような感じです。

良かった点

現代社会の闇を浮き彫りにした残酷な作品(誉め言葉)

小説と時代設定が違うが、うまく表現できている

三上正夫の魅力的な描かれ方と役所広司の熱演

気になった点

三上によくしてくれる人たちがあまりに都合がよすぎる気がする。1980年代なら一定の説得力があったかもしれないが、現代社会ではちょっと嘘くさい。

 

滅茶苦茶いいというわけでもありませんが、普通に良作です。時間とお金に余裕のある人はぜひ映画館で観てほしい一本ですね。

 

ABOUT ME
おにぎりパン
名前:おにぎりパン 年齢:アラサー 生息地:石川県産,広島在住 職業:大学院生 趣味:旅行,映画,ラジオ