2021年公開映画

映画「まともじゃないのは君も一緒」感想

こんにちは、おにぎりパンです。

先日「まともじゃないのは君も一緒」という映画を観てきました。当初は見る予定のない映画だったのですが、私のパパ上が推薦してきたので、気になって観ることにしました。私のパパ上も映画好きで子供の時分にはよく映画館に連れていってもらいました。あまり作品を褒める人ではないので、彼からの推薦は気になりますね。

ということで、本記事では映画「まともじゃないのは君も一緒」についての感想を書き連ねていきます。

 

映画「まともじゃないのは君も一緒」のあらすじ

 

あらすじ

人とのコミュニケーションが苦手で、数学ひと筋で生きてきた予備校講師の大野。今の生活に不満はないが、このままずっと1人でいることに漠然とした不安を抱えている。世間知らずで「普通」が何かわからない彼は、女の子とデートをしてもどこかピントがずれているような空気を感じる。教え子の香住は、そんな大野を「普通じゃない」と指摘してくれる唯一の相手だ。恋愛経験はないが恋愛雑学だけは豊富な香住に、「普通」を教えてほしいと頼み込む大野だったが……。

 

 

「まともじゃないのは君も一緒」映画ドットコム

 

あらすじを読んだ感じ、予備校講師とその生徒の恋愛モノって感じですね。タイトルの「まともじゃない」というのは予備校講師のことでしょう。そして、「君も一緒」ってことは生徒側も変人で、変人同士の恋愛映画って感じですかね。まぁ、この情報だけでは観ないでしょうね。別に監督や役者のファンってわけでもないですから。逆になんでウチのパパ上はこの映画を観ようと思ったのか気になるくらいですね。

映画ドットコムの評価は4.1と非常に好評ですね(2021年4/3時点)。評価数が多いわけではないですが、100件以上で4.1は、まぁ信用していいでしょう。時間があれば観に行きたい作品に変わりましたね。ただ、そもそも本作に興味が無かったので、映画ドットコムのページにすら到達してなかったことを考えると、やはりパパ上の勧めが無ければ観なかったでしょう。

 

映画「まともじゃないのは君も一緒」の感想

結論から書きますね。傑作です滅茶苦茶面白い!個人的には90点くらい。たぶん全く期待してなかったというのもありますが、これは掘り出し物ですね。

映画ドットコム的には4.3~4.4くらいついていてもいいのではないでしょうか?

まず、あらすじから推測される内容とはちょっと方向性が違いましたね。作中のスナック(バー?)で酔っ払ったおじさんたちも言っていますが、想像以上に複雑で面白いことになります(笑)。この辺の単純な予想を裏切られたところから、好感が持てます。

あまり具体的なことは書きたいけど書きたくないので、ぜひ本編を観てほしいです。本当に面白いですから。

ということで、細かい感想は以下に書いていきます。ごゆるりとおつきあいください。

 

「普通」について考えさせられる作品

作品のテーマにもなっている「普通」という言葉。本作では、予備校の数学教師・大野が予備校に通う生徒・秋元と共に「普通」を手に入れるために奮闘する物語です。

本作の面白いところは「普通」という曖昧な言葉を皆がいかに日常で当たり前のように使っており、いかに自分の「普通(常識)」に相手に押し付けているのかというのを描いている点だと思います。その「普通」という言葉・感覚がいかに曖昧な表現なのかとして、大野に「普通」を教えるという立場であり、「普通」という言葉を使いまくってきた秋元自身が物語中盤から「普通」が何か分からなくなっていくという、ゲシュタルト崩壊のような状態に陥っていく様子は非常に面白いですし、観ていて共感できる部分が非常に多かったです。

こうやって書くと哲学的な内容なのかと勘違いされてしまいそうですが、本作はあくまでもコメディ色の強いラブコメなので、誰が観ても「普通」に面白い作品だと思います。

それと、本作の本質ともいえるセリフで私を含め多くの人が一番印象に残っているセリフだと思うのですが、終盤で大野がいう「普通って言葉をやらない理由、できない言い訳にして逃げるために使っているんじゃないか?」という言葉は本当に刺さりましたね。私に会心の一撃です。私自身、あまり褒められた経歴をしていないですし、私の同年代の中では「普通」ではない働き方を選んできた自覚があるので、この言葉は本当にその通りだと思いました。一般的な「普通」の上を歩いている人にもこの言葉が届いているといいなと心の底から思います。

一方で、「普通」を選ばなかったという立場から少し話させてもらうと、「普通じゃない」って言葉も結局は「普通」という言葉の裏返しで、社会に馴染めなかったり、国立大の大学院まで出て、いい年してフリーターしている言い訳なのかもしれないなぁと思わされました。

 

誰しもが覚えのある言葉の曖昧さ

先ほども書いたように、本作では「普通」という非常に広義で曖昧な言葉がたくさん出てくるわけですが、こういった言葉遊び的な笑いとして、個人的に思いだしたのが、アンジャッシュのコントですね。アンジャッシュと言えば昨年、渡部さんが騒動を起こしており、その印象が強いかもしれません。でも、彼らのネタは本当に面白いものなので一度見てみてほしいです。彼らのネタは、日本語にありがちな言葉の省略や同音異義語を使い、互いに間違った認識をして、食い違った話をしていくことでコントが繰り広げられていくという形式なんですが、多くの方がそれを笑えるのは、誰しもがそういう経験をしているだと思います。そういう意味ではアンジャッシュで笑える人は本作も笑えると思います。

かくいう私自身も、言葉の曖昧さというものを強く感じた時期がありましたし、もしかしたら理系学生で特に研究発表みたいなことをしていた人は私と似たような感覚を味わたことがあるのではないかと思います。私自身の話なんですが、私も大学では化学を専攻していたゴリゴリの理系人間だったのわけですが、学問の世界に長く浸かっている教授みたいな人は本当に「普通」みたいな曖昧な表現や、日本語で起こりがちな主語の省略を嫌うんですね。私も研究報告などで、最初のうちはめちゃくちゃ主語省略を指摘されましたし、心の底から「そんなの普通に考えれば分かるでしょ?」って思っていました。でもね、そういう世界に1年もいたら今度は自分が「普通」みたいな曖昧な表現を使わなくなるんですね。言葉を明確に伝えるために言葉の省略をしなくなってくるんです。

そうすると次は、久しぶりに実家に帰って家族と会話した時に、家族の会話に伝わるだろうという気持ちで多くの言葉が省略されているといことに気付くんですね。そして、それがめちゃくちゃ気持ち悪いんですよ。本心では「そこには○○って言葉が省略されてるよね?それじゃ間違って伝わる可能性があるよ?」と思うんですよ。もちろん言葉には出しませんけどね。それと同時に、これまでできていた省略された言葉を読み解く能力が著しく低下していることに気付くんですね。何気ない家族との会話で「おそらくこれだろうな」ってものはあるんですけど、「いや別の可能性もあるな」と感じると、「○○と××どっち?」みたいな会話が明らかに昔に比べて増えました。大学を出て数年たった今はそういう感覚も消えましたし、そういう意味では私は「普通」に戻ったのかもしれないですけど、そういう経験があったからこそ、本作は「それ滅茶苦茶わかるわ~」って部分が多数有り、非常に面白かったです。

 

理系のステレオタイプ

本作にあえて苦言を呈させてもらうなら、予備校講師の大野がゴリゴリの理系のステレオタイプとして描かれている点ですね。実際、理系に変人が多いのは事実です。私自身国立大学の大学院博士課程後期まで行った身ですので、この辺は同意します。ただ、あそこまでの人はいないですね。世の中0か100かの極論が好きな人が多いですし、作品を作るにあたって、ああいう極端な例を出すのは非常にわかりやすいので、理解はできます。まぁ、でもあれは0か100かで言われれば120くらいの極端な例ですけどね(笑)。

ただ、同じ理系という括りでも、とりわけ数学をやっているやつは変人が多いというのは、おそらく理系の人間の間では共通認識なのではないかと思ういます。有名な理系を題材にしたジョークとして、学会のドレスコードジョークがあります。学会の案内の服装に関する文章をどうするべきかというジョークですね。内容は以下の通りですね。

化学者の学会の場合は「ご自由な服装でお越しください」と書くのがいいだろう

物理学者の学会の場合は「常識的な服装でご参加ください」と書きましょう

数学者の学会の場合は「服を着てきてください」と書きましょう

こういうジョークが生まれるくらいに数学者ってぶっ飛んでる印象なんですよね。正直、数学者の話は私が聞いてもサッパリ訳が分からないと思いますよ(笑)。

 

そうそう、ここでは本作の理経像に苦言を呈するんでした。

私が気になった点が2点あります。

1点目はカラオケボックスで大野がとある女性について調べてきたと言って取り出してくる資料です。理系の人間は基本的にまとめたり要約する能力が非常に高い人が多いです。あんな無駄にデカい画像つきでスカスカの資料を持ってくるはずがないんですね。おそらく、画像は最小限、調べた内容を要約して箇条書きとかで持ってきます。自分が分かればいいメモとかをよく取りますからね。あの演出は理系の人間として文句を言わせてもらいたい。

もう一点は、素直に疑問に思ったこととして、「純粋数学の人間が定量性を議論することがあるのか?」という点です。大野自身作中で言っていますが、経済の評価とかで使われる数学って、統計とか物理に近い部分で言っちゃなんですが数学の浅瀬みたいなところなんですよ。純粋数学をやってどっぷり数学の深海に潜ってるような人は本当に意味の分からないことをやっていますから。そういう人間が「定量的に」って言葉を使うのかが疑問でした。化学や生物をやっている人間であれば定量性というのは非常に重要な意味を持ってくるわけですが、先ほども書いたように同じ理系の我々からしても純粋数学の人たちは別次元の存在です。純粋数学者はどちらかというと、そういう定性的とか定量的とかで測れるようなものを扱っている印象がまったくないんですね。どちらかというと虚数空間とか数学を使った法則の証明みたいな概念的なものを研究している印象が強いので、純粋数学者が定量的という言葉を使うことに若干の違和感を覚えました

 

キャストが良かった

キャストが非常に良かったですね。

主役の成田凌さん、清原果耶さんはじめ非常にいい演技をされていましたね。

ですが、私が個人的に注目したのは青年実業家・宮本を演じている小泉孝太郎さんですね。作中で予備校講師の大野も指摘してるんですけど、宮本の言葉には具体的な話が何もないんですよね。スカスカの演説で人の心を掌握しているわけですけど、その姿が政治家である弟さんにすごく被るものがありまして・・・。この役を小泉孝太郎さんに振ったのはそういう皮肉じみたものがあるのではないかと感くぐってしまいますね。個人的には名采配だと思いました(笑)

 

まとめ

映画「まともじゃないのは君も一緒」を観た感想を書いてきました。

本映画の良かった点・気になった点をまとめると以下のような感じです。

良かった点

コメディ強めのラブコメ映画で誰が見ても面白いと思う

誰しもが経験のある言葉の曖昧さを扱った観点が面白い

「普通」という曖昧な言葉を考えさせられる作品

気になった点

理系のステレオタイプ的な表現が多い

その割に、純粋数学者の解像度が若干低い

 

文句なしの名作だと思います。万人におすすめできる作品です。デートなんかにもいいのではないでしょうか?正直公開規模やプロモーションが少し残念なのではないかと思いますし、もう公開が終わってしまっている映画館も多いかもしれませんが、本当におすすめの一本ですので、ぜひ劇場で観てください。

 

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おにぎりパン
名前:おにぎりパン 年齢:アラサー 生息地:石川県産,広島在住 職業:大学院生 趣味:旅行,映画,ラジオ