こんにちは、おにぎりパンです。
2021年1月4日にこの記事を書いているのですが、本日、2021年の初映画を見てきました。
見てきた映画は「ジョゼと虎と魚たち」というアニメーション映画です。

本記事ではアニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」についての感想を書き連ねていきます。
大きなネタバレは書きませんが、一応ネタバレを書く際は白文字で見えないようにしとくので、ネタバレ部分を読みたい人は記事の該当部分をドラッグしてください。
映画「ジョゼと虎と魚たち」のあらすじと概要
大学で海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコに生息する幻の魚を見るという夢を追いながら、バイトに勤しむ日々を送っていた。そんなある日、坂道を転げ落ちそうになっていた車椅子の女性ジョゼを助ける。幼少時から車椅子で生活してきたジョゼは、ほとんどを家の中で過ごしており、外の世界に強い憧れを抱いていた。恒夫はジョゼと2人で暮らす祖母チヅから彼女の相手をするバイトを持ち掛けられ、引き受けることに。口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たるが、そんなジョゼに恒夫は真っ直ぐにぶつかっていく。
2003年に犬童一心監督により実写映画化された田辺聖子の同名小説を、新たに劇場アニメ化。「坂道のアポロン」の中川大志が恒夫、「デイアンドナイト」の清原果耶がジョゼの声をそれぞれ演じる。テレビアニメ「ノラガミ」のタムラコータロー監督がアニメ映画初監督を務め、「ストロボ・エッジ」の桑村さや香が脚本を担当。「僕のヒーローアカデミア」のボンズがアニメーション制作。
原作は1985年に発売された同名の恋愛小説で2003年に妻夫木聡と池脇千鶴が主演で実写映画化されています。映画を鑑賞した後に35年前の作品と知り驚愕しています。原作小説を読んだことがないのでどの程度アレンジされたものかは測りかねますが、昭和の古臭さはかけらも感じさせない非常に現代的な作品だと感じていたので、本当に35年も前の作品なのか疑うくらいです。
映画「ジョゼと虎と魚たち」の感想
良くも悪くもオーソドックスな恋愛小説
ストーリー自体は良くも悪くもオーソドックスな恋愛小説が基盤にあるので、よく言えば安心して見られる。悪く言えばある程度先の展開が読めるものとなっていました。
そこに足に障害を持つ車椅子の女の子と、留学で離ればなれになる未来が見えている期限付きの恋というテーマを足した感じです。
この辺は好みの問題になってくるのですが、私個人としては留学という主人公・恒夫の夢がもたらす期限付きの恋が非常に甘酸っぱくてよかったです。この留学というファクターにより、夢にはあんなに前のめりな主人公が一人の少女に対して少し引いてしまうわけです。肝心の一歩を踏み出すことができないわけですね。
まぁ、恋愛物は二人が結ばれてしまったらそこで一つの話が終わってしまうわけですから、こういう困難と言うのはなくてはならない要素なわけですが、男性である私はやっぱり恒夫の立場でこの物語を見てしまうので、この期限付きの恋が本当にいい働きをしているなと感じました。
また、ヒロインが障害者という点も本作の大きなファクターとなっています。それは後程書くとして、LGBTやBLMなど多様性が叫ばれる現代において、この障害を持つ人を主要ポジションに据えるというのは非常に現代的だと思いました。これが、私が本作が35年前の作品の映像化と聞いて驚愕した理由です。昨今では、アメリカの黒人差別や同性愛などをテーマにした作品が非常に多くなっているので、本作もてっきり最近の作品だとばかり思っていました。
同じく身体に障害を持つ女の子をよりリアルに描いた作品「37セカンズ」も素晴らしい作品なので、こちらもぜひ見てもらいたいです。

神がかったアニメ演出
本作での一番の注目ポイントはやはり作画の良さなのではないでしょうか。
海の表現や雨の表現も現実以上に美しく、アニメならではであると感じる点ではありますが、何より、ジョゼが抜群にかわいい。
ジョゼが抜群にかわいい!!
これが最前面に出てきますね。
もう本当にかわいいから見て。劇場で見て。頼むから見てきて。
そのほかにも、季節の変化を背景と服装の変化だけで表現しておいり、恒夫の卒業という別れの時期を見ている側に無意識に感じさせる演出もさすがの一言に尽きます。
他にも、アニメならではの表現としては、本心を語りたがらないジョゼの内心を猫や魚などの動物を使ってうまく視聴者に届ける演出も、画面全てを支配できるアニメーションならではの手法なのではないでしょうか。
当然絵がきれいなだけでは作品はよくなりません。
良い作品には良い脚本が必要なわけですが、本作の脚本は非常にテンポが良く、無駄がない本当にいい脚本だったと思います。
個人的に本当に素晴らしいと思ったところは若干のネタバレを含むので、以下に白文字で書きますね。読みたい方は、ドラッグしてください。
個人的に脚本・演出ですごい一番刺さったのはやはりジョゼの可愛さなんですが、同じくらい刺さったのは、キャラクターを対照的に配置する美しさでした。序盤は夢を追うことに一生懸命な恒夫と足に障害を持つことにより、健常者の当たり前を手にできず、非常に内向的なジョゼという対照的なキャラクターを配置し、終盤ではこの立場が見事に逆転するわけですね。交通事故が起因となり、夢の為に積み上げてきたものが一気に崩れてしまい無気力に陥る恒夫と、恒夫に世界を開いてもらい、不器用ながらに新たな挑戦を決意するジョゼ。ここでもやはりキャラクターは対照的に描かれているのです。
また、恒夫が海洋学者を目指すきっかけとなった、「一匹だけ入荷されたクラリオンエンゼルフィッシュ」が当時の両親の離婚を経験した恒夫の在り方と重ね合わせる表現と、その話に対して、「そのクラリオンエンゼルは恒夫が毎日会いに来てくれるからさみしくなかったと思うよ」というジョゼの言葉が、今のジョゼと当時のクラリオンエンゼルを見事に重ね合わせています。この恒夫の原点に当たる魚を通して、恒夫とジョゼをつなげるという見事なシーンには素直に感心させられました。
「聲の形」も毛色は違いますが、素晴らしいアニメ演出で強く印象に残っている作品ですので、こちらも見てみてほしいですね。

キャラクター&キャストについて
キャストは俳優と女優という声優を使わない起用でしたが、主役を演じられた中川大志さん、清原果耶さん共に演技が非常に上手く配役は完璧と言っていいと思いました。
ただ、キャラクターについて一つ物申しておきたい点が、恒夫君の設定があまりに盛りすぎの超人ではないですか?という点です。恒夫は22歳(大学4年生)で卒業後にメキシコ留学を目指しており、その資金の為にバイトを複数掛け持ちしている。ここまでは理解できます。そして、恒夫は学部4年生でありながら、メキシコの教授がある程度評価する論文を書いているとのこと。学部4年で論文ってかなりレアなケースなのかなと思います。まぁ、将来学者を目指しているということなので、実績として指導教員が主要著者にしてくれたのかもしれませんが、かなり選ばれしエリートであることは間違いないと思います。そのうえで、留学のための奨学金申請までしており、それに合格しているとのこと。ここまで来ると超人なのではないかと疑ってしまいます。論文執筆や奨学金の申請書類を書く労力を知っている身からすると、とてもじゃないですがバイトなんてできないです。この辺を学部4年生でやってしまうって言うのは現場を知っている身からするとリアリティにかけるのかなという気がしました。これが修士2年生とかだったらまだ理解できました。学部4年生はさすがにねぇ~。まぁ、登場人物の年齢が+2されたら、恒夫が24歳、ジョゼが26歳と物語の趣も大きき変わってしまうのかなと言うのも理解できるので、あくまでフィクションとして受け止めようということで決着しました。
まとめ
映画「ジョゼと虎と魚たち」を観た感想を書いてきました。
本映画の良かった点・気になった点をまとめると以下のような感じです。
ジョゼがかわいい!
演出や作画などアニメならではの強みを存分に活かしており、完成度が非常に高い
キャストが非常にハマっており、キャラの魅力が増した
主人公の恒夫の設定がアカデミアの世界の経験者からすると盛りすぎだと思う
アニメーション作品として、映画として、一つの作品として、本当にクオリティが高く申し分ない作品でしたので、ぜひ劇場で見てほしい一本です。
ではでは~ノシ