2021年公開映画

映画「ミナリ」感想

こんにちは、おにぎりパンです。

先日「ミナリ」という映画を観てきました。

本作は2021年の第93回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞・助演女優賞・脚本賞・作曲賞と6部門にノミネートされ、現状今年のオスカーで最有力候補「ノマドランド」に次ぐ有力候補となっている注目作です。

私はここまで細かく調べてはいなかったのですが、アカデミー賞の作品賞にノミネートされた作品なのは知っていて、かなり期待して観に行きました。

結果としては、期待値を上げすぎたのは否めなかったですが、すごくいい映画なのは間違いないです。

ということで本記事では映画「ミナリ」についての感想を書き連ねていきます。

大きなネタバレは書きませんが、一応ネタバレを書く際は白文字で見えないようにしとくので、ネタバレ部分を読みたい人は記事の該当部分をドラッグしてください。

映画「ミナリ」のあらすじ

 

あらすじ

農業での成功を目指し、家族を連れてアーカンソー州の高原に移住して来た韓国系移民ジェイコブ。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを目にした妻モニカは不安を抱くが、しっかり者の長女アンと心臓を患う好奇心旺盛な弟デビッドは、新天地に希望を見いだす。やがて毒舌で破天荒な祖母スンジャも加わり、デビッドと奇妙な絆で結ばれていく。しかし、農業が思うように上手くいかず追い詰められた一家に、思わぬ事態が降りかかり……。

 

 

「ミナリ」映画ドットコム

 

冒頭に書いたように、本作は2021年、第93回のオスカーに作品賞・主演男優賞・助演女優賞など計6部門にノミネートされた注目作です。舞台となるのは1980年代のアメリカ南部(アーカンソー州)で韓国系の移民家族がただ生きていく姿を描いただけの作品です。

細かい感想は後にしますが、本作は恐ろしい事件が起きるわけでも、正義のヒーローが悪を挫くわけでもない、何の変哲もない家族の生きざまをただただリアルに描き出しただけの作品です。娯楽映画として本作を観に行くとおそらく退屈に感じる方が多いのではないかと思います。かくいう私もアカデミー賞で6部門ノミネートという実績に期待して観に行って見事なカウンターパンチをもらいました(笑)。

正直娯楽映画としては三流の作品だと思います。しかし、本作は非常に丁寧に作られており、映画ならではの不自然さみたいなものはほとんど無いのに映画として成立しているという本当に芸術性というか映画としての完成度が高い作品だと思います。

あと、作中のほとんどが韓国語で会話が行われるので、韓国映画と勘違いしていたんですが、製作は2017年のオスカーを取った「ムーンライト」のA24とブラッド・ピットのPLAN Bが共同で製作している紛れもないアメリカ映画です。

これから見る人はそういう観点で本作を観るとより楽しめると思います。

 

映画「ミナリ」の感想

話題性の強い本作ですが、私が勝手に娯楽映画を期待して肩透かしを食らったわけですが、75点前後が妥当なのではないかと思います。

映画ドットコム的には3.7~3.9くらいですかね。

冒頭にも書きましたが、私自身ほぼ下調べなしで観に行って、盛り上がりに欠ける内容に肩透かしを食らった作品です。完全に韓国映画だと思って(先述しましたが、本作はアメリカの映画です。)、オスカー期待も相まって滅茶苦茶敷居をあげて観に行ってしまったのが敗因ですね。純粋に家族の生活(喜びや苦難)を描くだけの作品なのですが、細かな演出などで場面ごとに情報量がとても多く、多くは語らないのに多くがわかるという、非常に繊細で丁寧な演出が延々と続くとんでもない作品でした。

何度でも言いますが、娯楽映画を求めてるなら本作は避けたほうがいいです。正直、映画上級者に向けた作品だと思います。別に私が映画上級者というつもりはありませんよ。私だって娯楽映画大好きですし、本作とアベンジャーズを並べられたら、間違いなくアベンジャーズを選びます。

細かい感想は以下に書いていきます。

 

演出が本当に丁寧

とにかく演出が丁寧です。

本作の時代背景や物語の主役となる韓国系移民の家族の背景など、基本的な情報はほぼすべて演出で明かされていきます。映画やドラマにありがちな説明的なセリフ回しなどはほぼ皆無でただひたすら描かれるに自然な日常の中に時代や家族の背景などの情報が散りばめられています。ここ最近観た映画の中では演出が本当に神がかって上手い作品であり、これまで観た映画の中でも類稀な映画だと思います。

作中の演出の中でもよく出てくる小道具として、「火」と「水」が挙げられるでしょう。この相反する二つの要素はどちらも家族の在り方を暗示する装置となっており、その時の家族の在り方を映す鏡の役割をはたしているように見えました。これから本作を観る人はこの辺に注意して観賞すると、より楽しめるのではないかと思います。

個人的にお気に入りのシーンがあるのですが、軽いネタバレを含むので読みたい方はドラッグして読んでください。

ネタバレ注意(読みたい方はドラッグしてね)

本当に何でもないシーンなんですが、個人的に好きだったシーンが、デビッドが白人の男の子の家に泊まって一緒に花札をするのですが、その姿がモロに祖母の影響を受けているというシーンが本当に好きです。あれだけおばあちゃんを敬遠しておきながらも、その実しっかりとその愛を受け取っており、しっかりと影響されているということを描いた非常にいいシーンだったと思います。もちろん面白いシーンでもありますよ。

面白いシーンというと、倒れる前のおばあちゃん関連のシーンはどれも強烈で最高でしたね(笑)。「生理的に無理!」っていう行動をことごとくやってのける強烈なキャラなのに、茶目っ気があってどこか憎めない、かなりリアルなおばあちゃんだったと思います。これに関しては祖母・スンジャを演じたユン・ヨジョンさんの演技が素晴らしかったです。韓国の国民的女優と言うのも納得ですし、アカデミー賞にノミネートされるのも納得です。このまま助演女優賞を取って欲しいですね。

 

ただ演出はいくら丁寧でも、話自体の盛り上がりに欠けるというのはまごうことなき事実です。そういう作品じゃないと言われればその通りですし、脚本自体もリー・アイザック・チョン監督の体験なので、フィクションほど劇的な展開は起こりえないわけです。その背景を理解しておけば本作の在り方も納得できるのですが、映画に芸術性よりも娯楽性を求める人が多い以上、この点は欠点として取り上げられても仕方がないと思います。

 

「ミナリ」というタイトルに込められたメッセージ

本作のメッセージは完全に作中で触れられていた通りですね。

本作のタイトルになっている「ミナリ」は韓国語でセリ(芹)のことです。そう、春の七草に数えられる野草のセリです。作中でおもむろにセリについて話始める場面があるので、メッセージは非常にわかりやすいと思います。

映画ではそのセリの特徴とアメリカに移住した家族を照らし合わせるような形になっていますが、この「ミナリ」の特徴はこの家族だけでなく、アメリカを開拓した多くの人にも共通するものですし、現代社会においても多くの人に一度考えてほしいメッセージだと思いました。

 

ユン・ヨジョンさんの演技が素晴らしい

ネタバレボックスの中でも触れているのですが、祖母・スンジャを演じたユン・ヨジョンさんの演技が素晴らしいの一言に尽きますね。そりゃオスカーで助演女優賞にノミネートされるわ。個人的にはこのまま助演女優賞を取って欲しいですね。本当にそれくらい素晴らしい演技をしています。本作の演出と相まって非常にいい役だったと思います。

このおばあちゃんを見るためだけでも本作を観る価値があると思いますよ!

 

まとめ

映画「ミナリ」を観た感想を書いてきました。

本映画の良かった点・気になった点をまとめると以下のような感じです。

良かった点

演出が神

ユン・ヨジョンさんの演技が素晴らしい

気になった点

物語に盛り上がりに欠ける(監督の体験なので致し方ない部分はありますが)

 

本作をまだ観てない人に勧めるかと言われればおそらく勧めないんですけど、それでもいい映画なのは間違いないです。ユン・ヨジョンさんの助演女優賞を初め、今年のアカデミー賞6部門ノミネートは伊達じゃない作品です。もし気になる方はぜひ映画館で観てもらえればと思います。

ただ、何度でも書きますが、娯楽映画を求めて観る作品ではないです。どちらかというと美術館に行くような気持ちで、芸術を楽しむ心構えで観賞してください。くれぐれも期待値は上げすぎないように!

 

ABOUT ME
おにぎりパン
名前:おにぎりパン 年齢:アラサー 生息地:石川県産,広島在住 職業:大学院生 趣味:旅行,映画,ラジオ