こんにちは、おにぎりパンです。
先日「劇場版ポケットモンスター ココ」を見てきました。
私としては、ポケモン映画は昨年公開されたポケモン映画の第一作目である「ミューツーの逆襲」の3Dリメイク作品である「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」でしたが、その前となると、2000年に公開された劇場版第3作目「結晶塔の帝王 ENTEI」でした。そう、私のポケモン知識は2000年、金・銀の時代から変わってないんですね。
当初は見る予定ではなかったのですが、「ポケモンの映画がいいぞ」と周りからやたらと評判が良かったので、「これは見ねばなるまい」ということで見てきた次第です。
本記事では映画「劇場版ポケットモンスター ココ」についての感想を書き連ねていきます。
私のポケモンにまつわる知識はゲーム・アニメ共に2000年前後で止まっているので、いささか知識不足かもしれませんが、ご容赦ください。
大きなネタバレは書きませんが、一応ネタバレを書く際は白文字で見えないようにしとくので、ネタバレ部分を読みたい人は記事の該当部分をドラッグしてください。
映画「劇場版ポケットモンスター ココ」のあらすじ
人里離れたジャングルの奥地に、厳しい掟で守られたポケモンたちの楽園・オコヤの森があった。そこへ偶然やって来たサトシとピカチュウの前に、幻のポケモン、ザルードによってポケモンとして育てられた少年ココが現れる。自分のことをポケモンだと信じて疑わないココにとって、初めての「ニンゲンの友達」となるサトシ。そんな中、突如としてオコヤの森に危機が迫り……。
人気アニメ「ポケットモンスター」の劇場版第23作。ポケモンに育てられた少年の姿を通し、ポケモンと人間の新しい絆の形を描き出す。「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」の矢嶋哲生が監督を務める。少年ココ役で上白石萌歌、ココを育てたザルード役で歌舞伎俳優の中村勘九郎が声優出演。
ポケモンの映画としては23作目だそうです。もう長いことやってますね。
映画「劇場版ポケットモンスター ココ」の感想
23年変わらぬテーマを描き続けた結晶
本作では、ポケモンと人の共存という、ポケットモンスターという作品が映像化された1997年から(私が知る限り)変わらぬテーマを描いています。2000年前後までしかポケモンを追ってこなかった身ではありますが、今も昔もポケモンという作品が届けようとしているテーマが不変であったことに不思議な安心感を覚えてしまいました。
私個人の感想というか考えになるんですが、ポケモンという存在はこの世界にあるありとあらゆるもの、現象のキャラクター化なわけです。そういった性質を考えると、ポケモンとの共存=自然共に送る豊かな生活あたりに自然と着地するのだろうなと思ってしまいます。
また、本作ではポケモン(自然)の中にもポケモン(自然)のルールがあり、秩序があるという一面が描かれており、ポケモン図鑑上とポケモンの生息地、ポケモンスナップという古のゲームを通じてしか見ること、知ることのできなかった側面を見ることができて、非常にうれしかったのと同時に、ポケモンが描いてきたテーマが一つ掘り下がったなというのを感じました。
良くも悪くも、ポケモンのアニメ・映画がテーマを変えることなく描いてきたことは非常にすごいことですし、尊いことだと思うので、今後も毎年いい映画を作ってくれることを期待します。
ストーリー・構成について
ポケモンに育てられた少年ココを描いた本作ですが、多くの人はディズニーの映画「ターザン」を思い出したのではないかと思います(こう書くと「ターザンの原作はディズニーじゃねぇ!!」と怒号が飛んでくるかもしれませんが、それは重々承知しています)。私も当然ターザンを連想したわけです。というか、本作明らかにターザンを元ネタとして描いており、それを隠す気も微塵もないのでそれは当然なのですが。

本作がポケモンの映像化として異色な部分は、主人公がこの野生児ココであるということです。これまでにピカチュウが主人公になった作品があったり、ミューツーを主役として描いた「ミューツーの逆襲」の続編があったりとサトシ以外にフォーカスした作品は確かにありましたが、(私の知る限り)劇場版でぽっと出のキャラクターが主役の座を奪った話というのはないのはないでしょうか?
そう、本作ではサトシは脇役なのです。ですから、サトシの手持ちポケモンもピカチュウしか出てきません。なぜならサトシは脇役ですから。ではどんなポケモンが出てくるのか?それは本作主人公であるココを囲むポケモンたちです。悪役とのバトルもサトシはピカチュウしか使わず、メインはココとザルードを始めとしたジャングルに住むポケモンたちなのです。この辺の徹底ぶりは感心させられました。
基本的には非常に綺麗にまとまったいい脚本と構成だったと思いますが、多少なりとも気になる点はありました。
まずは、本作の悪役ですが、良くも悪くもテンプレートに乗っかったキャラクターなので出てきた時点で「あっ。こいつ悪者だ」と多くの方が気づくのではないでしょうか?また、映画や小説などに多く触れてきた人たちなら、おそらくその悪役周りの物語もかなり正確に推測できると思います。その点では意外性が無く非常に無難なキャラづくりになってしまっていると言わざるを得ません。
次に、本作の主人公はココでありサトシはあくまで脇役であると書きましたが、物語後半のバトルシーンでもサトシはピカチュウ以外のポケモンを出さないというのは違和感がぬぐえません。これはココが主人公であるという点を強調させるための演出面の話になってしまうのかもしれませんが、サトシあと2匹くらいポケモンを入れ替えながら戦っても全然自然というか、そっちの方が自然だったと思います。
最後のツッコミどころは多少なりともネタバレが入るので読みたい方は以下をドラッグしてください。
物語終盤、自分たちの管理下にポケモンを癒すことのできる癒しの泉を置いておきながら、全く活用しようとしない点に強い違和感を覚えました。本作を見た方が一番気になる点はおそらくここだと思います。癒しの泉を失うシーンとポケモンが傷つくシーンの時系列をもっと練ったほうがより自然になったのではないでしょうか。
演出面の話
本作は演出も非常に完成度が高いので、映画として見ていて全く退屈することが無かったです。
やはり一番の見どころは、ジャングル内で繰り広げられる非常に立体的で多くのポケモンが活躍する戦闘シーンでしょう。ストーリーの面からも一番盛り上がるシーンなので相当力が入っていたように思います。3DCGも使ってると思いますが、手書きアニメベースであの迫力のあるロングカットは本当に見ものなので、ぜひ劇場で見ていただきたいです。
そして、サトシ周りの話が、お母さんとの通信から始まり、ココとザルードの親子愛をみて、お母さんに通信して終わるというのは非常に収まりが良かったですね。
また、最後のナレーションが約20年間ポケモンから離れていた自分でも知っている口上で昔からずっと変わらないんだと感じてエモい気持ちになりました。悔やまれるのは石塚運昇さんの声ではなかったという点だけですが、こればっかりはどうしようもないことなので、文句を言ってもしょうがないですね。
次に、こちらは賛否両論ありそうな演出だと感じた点ですが、人間の町に行ったココが突然不格好ながらも二足歩行で移動を始めるというのは私は違和感を覚えました。人間であり、ポケモンであり、ザルードでもあるという特殊な立ち位置のココが今どの立場で行動しているのかをというここの内面を移動手段で表現するという非常に素晴らしい演出ではあるのですが、やはり町に降りてすぐの二足歩行はちょっと無理があると思います。
とはいえ、最後のココがジャングルを出て旅をする決意をしたときに見事な二足歩行で駆けていく姿にはココの決断が滲み出ていて非常に素晴らしい演出だったと思います。
最後に、あまり誰も気にしないかもしれませんが、私個人的にお気に入りの演出は作中2度だけ出てくる、ココとサトシが手を合わせるシーンです。作中だとサトシは10歳だったと記憶していますが、年齢を明かしていないココもサトシと同じくらいの手の大きさで10歳前後の少年なのだと印象付ける非常に好きなシーンでした。
まとめ
映画「劇場版ポケットモンスター ココ」を観た感想を書いてきました。
本映画の良かった点・気になった点をまとめると以下のような感じです。
ポケモンが描き続けてきたテーマが今でも変わっていなくて泣いた
ココという新しいキャラクターが主人公となった冒険的に作品。個人的には大好き。
魅せるバトル演出を初め、非常に演出が細かく丁寧
悪役がテンプレートすぎて、出てきて即「こいつ悪いやつだな」ってわかる。また、最後にある物語も大体予想ができてしまう。
ストーリーで多少気になる点がある
正直、期待半分・不安半分でみた作品ではありましたが、非常にいい作品でした。私のように長らくポケモンから離れていた人間でも見て感動できる作品ですし、映画としても完成度も非常に高いと思います。ぜひ劇場で見てみてください。