こんにちは、おにぎりパンです。
先日「騙し絵の牙」という映画を観てきました。本作はコロナウィルスの影響で公開が一年延期となっており、満を持しての公開となった作品です。
プロモーションから気になっていた作品であり、主演が大泉洋ということもあって、どうでしょうファンの私としては絶対に押さえておきたい一本でした。
ということで本記事では映画「騙し絵の牙」についての感想を書き連ねていきます。
本作はネタバレ厳禁系の作品です。大きなネタバレは書きませんが、一応ネタバレを書く際は白文字で見えないようにしとくので、ネタバレ部分を読みたい人は記事の該当部分をドラッグしてください。
映画「騙し絵の牙」のあらすじ
出版業界を舞台に、廃刊の危機に立たされた雑誌編集長が、裏切りや陰謀が渦巻く中、起死回生のために大胆な奇策に打って出る姿を描く。
「罪の声」などで知られる作家の塩田武士が大泉洋をイメージして主人公を「あてがき」した小説を、大泉の主演で映画化。「紙の月」「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督がメガホンをとり、松岡茉優、佐藤浩市ら実力派キャストが共演する。出版不況の波にもまれる大手出版社「薫風社」では、創業一族の社長が急逝し、次期社長の座をめぐって権力争いが勃発。そんな中、専務の東松が進める大改革によって、売れない雑誌は次々と廃刊のピンチに陥る。カルチャー誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされるが……。
映画館で流れるCMでずっと気になっていた一本です。いわゆるネタバレ厳禁系の作品で、プロモーションからラスト15分で物語が大きく動くことが分かっている作品です。
原作も「罪の声」の塩田武士さんですね。原作は未読ですが、昨年公開された映画「罪の声」は昨年公開された邦画の中でも随一の出来栄えの作品でした。
CMも面白そうでしたが、主演が大泉洋とあってはどうでしょうファンの私はホイホイ釣られに行きました。
感想は次項で書いていきます。
映画「騙し絵の牙」の感想
結論から書きますと、期待値を上げすぎました。点数的には70点くらいでしょう。
映画ドットコム的には3.4~3.6くらいですね。
最近流行りのラストで物語がひっくり返る系のプロモーションが完全に裏目に出ていたと思います。もう一度書きますが、期待値を上げすぎました。
いや、いい作品なんですよ。普通に面白いんです。でもプロモーションで上げたハードルを越えることはできなかったですね。
これから見る人はあまり期待しすぎないようにしてください。あとCMを見ないでください。CMが本当に面白そうですから。。。
細かい感想は以下に書いていきます。
本音と建前をうまく表現した作品
タイトルに入っている「騙し絵」からも分かるように、物事を多面的に捉えた見事な作品です。
知らない人の為に一応説明しときますと、騙し絵は一枚の絵がどこに注目するかによって違う絵に見えてくるという絵画作品です。小学校の国語の時間に騙し絵に関する文章を呼んだのをよく覚えています。代表的なものは「妻と義母」と呼ばれる以下の作品ですね。

最近は絵画だけでなく立体的に空間を使ったトリックアートなんかも出てきてますね。芸術の世界は常に拡張し続けているのでしょう。
本作も出版業界を舞台にその出版社の代名詞となっている文芸雑誌と廃刊寸前のゴシップ誌の在り方を見事に業界の表と裏で描いていたと思います。
また、大泉洋演じる速水の、編集長として廃刊危機の雑誌を救うという表向きの行動(建前)と、その裏で動いている速水の真の狙いと気持ち(本音)も見事に対称的に描かれており、まさに騙し絵のごとくでした。
キャストは完璧
キャストは全体的にベテランの起用が多く、演技も安定しており物語に集中できました。
注目したいのは、本作の敏腕編集長・速水は小説の時点で大泉洋をイメージしながら作られたキャラクターだそうで、それを大泉洋が演じているんだからそりゃハマるわって感じですよね。完全にハマってました。素晴らしかったです。
また、もう一人の主人公の新米編集者・高野を演じる松岡茉優さんも速水に振り回される新米らしい素晴らしい演技をしていました。あと目が大きくてめちゃくちゃかわいかったです。
キャストの演技も素晴らしかったですが、音楽の使い方もうまく、比較的BPM高めの音楽に合わせて物語がポンポン進んでいくので、見ていて気持ちよかったです。
プロモーションの仕方が完全にミスってる
正直、本作の悪いところはここに集約されていると思います。作品としての完成度は結構高いのですが、CMを面白そうに描きすぎましたね。
正直、プロモーションから、ラスト15分で大どんでん返しが起こることは分かり切っている作品です。先ほども書きましたがプロモーションCMがすごい面白そうなんですよね。最近こういう「ラストでひっくり返る系」のプロモーションが増えてますよね。そういったプロモーションは本当に面白そうに感じるので、観客を集めるという効果は理解できますが、ある意味で作品のオチをばらしてしまっているぶん、作品に対するハードルがどうしても上がってしまします。そこにコロナ禍で一年の公開延期を食らった作品なので、個人的にかなり期待値が高くなっていました。
正直、本作はこのプロモーションの仕方としては失敗していると感じました。オチが弱すぎます。なんというか、全体的にフワッとしたえ落ちで、モヤモヤが残る結果となってしまいました。完全に上げすぎたハードルを超えられてなかったです。オチ以外が非常にいい出来栄えだったので、そこだけが非常に残念でした。
本作を最初から廃刊寸前の雑誌を立て直す美談としてプロモーションしたほうが絶対に楽しく見れたなと言うのが感想です。なんというか、「マネーショート」を見に行った時と似たような気分ですね。気になる方は、以下のポスターとトレーラーを見てからマネーショートの映画を観てください。

ここからはオチに関するネタバレを含みますので、読みたい方はドラッグして読んでください。
正直、大どんでん返しを期待していました。確かに新米編集者の高野がラストで放った一手はまさに神の一手で逆転満塁ホームランでした。それは認めます。しかしですね、高野の得た利益に対して、速水も痛手を負っていますが、その一手は決して速水の致命傷にはなっていないんです。見方を変えれば優しいどんでん返しなのですが、CMからスカッとするオチを期待してしまったぶん、このフワッとしたオチに正直モヤモヤがとんでもなく残りました。
まとめ
映画「騙し絵の牙」を観た感想を書いてきました。
本映画の良かった点・気になった点をまとめると以下のような感じです。
キャストは完璧
話のテンポも良い
中盤までの作りは素晴らしい
プロモーションの仕方が完全に裏目に出てた
オチが非常に弱い
率先しておすすめするかと言われれば別にそんなにおすすめしないです。
ただ、どのキャストも素晴らしいので、役者さんのファンは一見の価値ありです。特に大泉洋と松岡茉優さんは素晴らしいですよ。