生活

はたして速読は可能なのか?

「速読できたらなぁ~」なんてことを考えたことないですか?

私は昔から国語が苦手で文章を読むのが遅かったので、「もっと早く文章を読みたい」と思っていました。

そして、現在でも読まなければならない論文が山積みになったり、読みたい本が山積みになったりして「速読できればなぁ~」と考えたりします。

 

今回はそんな速読術について調べてみました。

この記事を読めば以下のことがわかります。

  • 人間の平均読書速度
  • 速読の記録
  • 速読に関する学術研究の見解
  • 速読は現実的に可能かどうか

初めに言っておきますが、私は速読は訓練次第で可能だと思っていますが、人の10倍や100倍といった速さでの速読は不可能だと考えています

そういう考えの人が本文を書いていると認識して読んでもらいたいと思います。

 

日本人の平均読書速度

日本人の平均読書速度は1分間に600字程度だといわれています。(英語圏の人は1分間に250語

日本速脳速読協会の「読書速度ハカルくん」というサイトで読書速度を測定することができます。

挑戦してみましょう。

 

1分間に何文字読めました?

私は620字という平凡な数値でした。

 

速読術とは?

速読術とは、文章を速く読むための読書技術や読書法のことを言います。

代表的な速読術の方法として以下の3つあたりがよく紹介されます。

  • サブボーカリゼーションを抑える
  • 視野を広げる
  • フォトリーディング

 

サブボーカリゼーションを抑える

「サブボーカリゼーション」とは「無言のスピーチ」とも表現され、文章を読んだときに一般的に発生する「内部での読み上げ」のことです。

通常、人間は文章を読むと声に出してなくても、無意識のうちに頭の中で読んだ文書を音読してしまっています。

この音読が読むスピードを制限しているという考え方で、この音読をなくすことにより飛躍的に読書速度を上げることができるといわれています。

 

視野を広げる・眼球運動のトレーニング

文字を読むとき人間は「文字を見る」→「視点を停止する」→「次の文字へ視点を移動する」→「文字を見る」を繰り返していると考えられています。

この時、一度に見れる文字は3~4字といわれており、これを5字、6字、7字と増やしていくことにより、理解度を保ったまま読書スピードが上がるという理論です。

また、「視点を停止する」→「次の文字へ視点を移動する」という眼球の運動を訓練することにより、より効率的な読書ができると考えられています。

 

フォトリーディング

フォトリーディングとは、写真を撮るように本の情報を脳に送り込む速読術です。一度にページ全体を眺めるフォトフォーカスという特殊な目の使い方で本の全体像をつかみ、その後「文書の要点は?」「明日の会議に役立つ情報は?」などの質問を自分に投げかけて脳を活性化し、本から必要な情報を取り出します。フォトリーディングを行うと、単に本が速く読めるだけでなく、内容をより深く、的確に理解した上での情報処理が可能になります。

ALMACREATION より

 

速読世界記録

調べてみましたが、速読の正式ギネス記録は見つかりませんでした。

どうも、2010年ごろに速読ギネス記録保持者を自称する人物が2人名乗りを上げたそうですが、「どういう条件の下で測定されたものなのか明確でない点」、「1分間に読めると主張する文章量が人外の域であった点」を批判され、正式採用されなかったようです。

その後、2015年に記録の不正や測定の不平等をなくすために、速読世界記録規格(SPEED READING WORLD RECORD STANDARDS)という速読測定チャレンジに対するルールと審査方法を定めたようです。

 

2人の自称速読ギネス記録保持者

ここでは速読ギネス記録を持つと主張した2人の人物を紹介します

上でも紹介したように、彼らの記録は「測定条件が不明確なこと」「その数値が異常なこと」からギネス記録に登録されませんでした。

繰り返しになりますが、英語圏の人たちの平均読書速度は1分間に250語程度です。

この情報を頭に入れて以下をお読みください。

 

ハワード・スティーブン・バーグ(Howard Stephen Berg)

アメリカ出身のハワード・スティーブン・バーグは、Fox13という番組に出演し自身が速読最速記録を持っており1分間に25000語を読めると主張しました。

これは英語圏の平均読書速度の100倍という驚異的な数値です。

日本人の平均読書速度は1分間に600字といわれているので、この主張は1分間で60000字を読む、つまり400字詰めの原稿用紙150枚を読むのと同等の速さで本を読めると主張したことになります。

一秒間に原稿用紙2.5枚を読んでいるんですよ?

信じられますか?

私にはとてもじゃないですが信じられません。

 

マリア・テレサ・カルデロン(Maria Teresa Calderon)

こっちの人はさらにブッ飛んでます。

フィリピンのマリア・テレサ・カルデロンは自分こそが速読ギネス記録保持者であり、彼女自身が1分間で80000語を読めると主張しました。

(一応YouTubeの動画を張っておきますが、英語の訛りが強く聞き取りにくいうえに、読書している映像はありません。)

彼女の主張する読書速度はハワード・スティーブン・バーグの3倍以上、一般人の320倍ということになります。

先ほどと同様に日本人の感覚に直すと、1分間に192000字(原稿用紙480枚)を読むということです。

1秒当たり原稿用紙8枚です。

これができる人は超人以外の何者でもないと思います。

 

速読の研究

では、科学者たちは速読についてどのように考えているのでしょうか?

ここでは2本の速読についての研究論文を紹介します。

 

So Much to Read, so Little Time: How Do We Read, and Can Speed Reading Help?

2016年にカリフォルニア大学から出たレビュー論文「So Much to Read, so Little Time: How Do We Read, and Can Speed Reading Help?」では終始速読を全否定しています。

この論文は過去の速読に関する研究論文約200本を選び、内容を精査したものです。

つまり、この論文だけで2016年までの論文を網羅できると言っても過言ではないでしょう。

この論文の主張は以下の通りです。

  • 眼球の動きや、周辺視野を使ってページを見わたすようなテクニックはすべて無意味。読書時間全体で目の動きの重要性は10%以下なので、いくら眼球を鍛えても意味がない。
  • フォトリーディングのように、潜在意識に本の内容をインプットすることもできない。人間の脳は、同じ文章を何度か読み直しながら理解を深めていく構造になっており、パラパラとページを進めていけば、それだけ内容の理解度が低くなってしまう。
  • 実際に普通の人よりも速く本が読めることを証明した者はいない。2008年に速読大会でチャンピオンになった人物に「ハリー・ポッター」の最新刊を読んでもらう実験が行われたが、ストーリーをまったく理解できていなかった。

 

読み速度研究の現在

2011年に出た広島大学の報告「読み速度研究の現在」では速読に効果があると結論付けています。

この報告書は2010年までの研究約70本の内容を精査しまとめています。

先ほど紹介したカリフォルニア大学の論文との最大の違いは、日本の論文も多く採用している点です。
(カリフォルニア大学の論文で日本人がFirst authorになっていた論文は1/200でした)

この論文の主張は以下の通りです。

  • 速読は可能。ただし内容を理解しつつ早く読むには、ただ速く読むだけではなく相応のスキルやテクニックが必要。
  • 眼球運動を鍛えることによって読む速度は最大75%ほど早くなったが、わずかに内容理解度が低下した。
  • 周辺視野を広げることは可能でそれにより内容理解度を落とすことなく読書速度を上げられる可能性がある。
  • 読書速度には脳のワーキングメモリが大きく関係している。脳のワーキングメモリが衰えている老人は若者に比べて内容理解に時間がかかるため、読書速度が低下する。
  • 読書速度と脳の関係は未だ不明点が多いため、実験データの解釈に慎重にならざるを得ない。

 

所感

以下に今回速読について調べてみて、私が感じたことや考えたことを書いていきます。

私の所感なので、中立の立場から書いたものではない点に注意してください。

 

2本の速読研究論文

今回、アメリカ・カリフォルニア大学と広島大学、主張の食い違う2本論文を紹介しました。

カリフォルニア大学の論文は終始速読についてボロクソに否定していましたが、私は多少意図的に速読術について否定的な論文を選んでいる感が否めませんでした。

また、広島大学の論文についても速読術を否定する研究を紹介こそしていますが、著者が速読術に多少なりとも肯定的な立場を取っているように感じ取れました。

どちらも中立的立場で論文を書いているかといわれれば疑問が残ります。

 

西洋は速読に否定的・日本は速読に肯定的

実際に、速読研究や速読術について調べてみると速読術についてのスタンスが西洋と日本で違うように感じました。

本項目タイトルの通り、西洋は速読について否定的なスタンスで日本は速読に肯定的なスタンスを取っているように感じます。

それは今回紹介した2本の論文にも表れています。

また別の例をあげるなら、日本語と英語のWikipediaの書き方からもそのスタンスが読み取れると思います。(編集者のスタンスにも影響されますが)

気が向いた人は読んでみてください。【日本語Wikipedia】【英語Wikipedia

 

速読トレーニングに効果はある

カリフォルニア大学の論文では速読について全否定していましたが、私は速読術のトレーニングには多少なりとも効果はあると考えています。

理由としては、眼球の動きや視野を広げることよる手法は、できるかどうかは別にして理解はできるからです。

野球の投球フォームやバッティングフォームにある程度のセオリーがあるように、読書術に関してもテクニックやセオリーがあっても別に不思議ではないですし、訓練次第では確かに可能だと思いました。

 

ただし、フォトリーディングや脳の働きと関連付けた訓練法はデタラメだと思っています。

フォトリーディングは、そもそもそんなことができるやつは超人か人外か能力者だと思います。

また、広島大学の論文でも言われていましたが、速読と脳の関係は不明点が非常に多く現状では科学的に説明することは不可能だと思います。

 

一般人の100倍などのブッ飛んだ数値はデタラメ

速読トレーニングに効果はあるといいましたが、自称ギネス記録保持者や速読教室が掲げている1分間10000字のようなブッ飛んだ数値はデタラメだと思います。

先ほども書きましたが、野球の投球フォームを直し、球を投げ込んだから球速が上がるということは考えられます。

しかし、その球速が200 km/h とか300 km/h ということはありえないでしょう。

 

読書速度も同じです。

日本人の平均読書速度が1分間に600字で東大や早稲田など合格者の平均読書速度は1分間当たり1800字前後といわれています。

ですから、トレーニングによって分速1800字に近づくことはあれど、分速10000字になることはありえないと考えています。

 

ちなみに、広島大学の論文でも速読を肯定的にとらえていましたが、読書速度の上昇効果は2~3倍が期待されると書かれており、10倍100倍のような狂った数値は出てきません。

 

日本の速読教室に気をつけろ!

日本にはいくつか速読教室がありますが、どの速読教室も基礎理論がバラバラです。

何度も書きますが、野球の投球フォームやバッティングフォームには個人差こそありますが、抑えておくべきポイントやセオリーが存在します。

それは野球だけに限らず、多くのスポーツを初めとした競技にも共通していることです。

そのセオリーがバラバラという状態は非常に怪しいと言わざるを得ません。

速読を身に着けたくて速読教室に通うにしても、その教室の基本的な考え方とトレーニング方法を事前に確認しないとお金と時間だけを失うことになるかもしれません。

 

私の所感では、脳の働きと関連付けて説明している教室とフォトリーディングを推奨している教室は怪しいと思います。

 

まとめ

今回、速読と速読に関する研究について調べました。

要約
  • 日本人の平均読書速度は分速600字
  • 英語圏の人の平均読書速度は分速250語
  • 自称ギネス記録保持者の読書速度は分速80000語。これは一般人の320倍の読書速度であり、日本人の感覚的には1分間で原稿用紙480枚を読めることと同義
  • 速読術には多くのテクニックがあるがなかには怪しげなものもある
  • 正しい速読技術を選べば速読ができる可能性はある。ただし、分速80000語や10000字のようなブッ飛んだ速度は不可能
  • 西洋は速読に否定的・日本は速読に肯定的

 

次回は私が実践している本を早く読む方法を紹介しようと思います。(予定)

2019/3/3 追記:記事書きました。

ABOUT ME
おにぎりパン
名前:おにぎりパン 年齢:アラサー 生息地:石川県産,広島在住 職業:大学院生 趣味:旅行,映画,ラジオ